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一般的に「明の鐘」や「くろかみ」が手ほどきの曲として用いられているようである。
これらの曲は、奥深く味わいのある曲で表現として大変難しい曲である。
しかし、長いから長唄だと言われる中で、「めりやす」とよばれ、最も短い曲である。
調子は三下りでスクイやハジキもほとんど無くゆっくりとしたテンポの曲
であるため、やさしいと思われているのであろう。小学生には三下りの
「さくらさくら」が よく用いられている。
私も、これらの曲を初めて三味線に取り組む人に教えてきたのであるが、
最近になって色々と弊害が生じていることに気がつき始めた。それは、次のような事柄である。
・出だしから低い音の勘所を押さえなくてはならないため、棹を手のひらで
握り込んでしまいがちである。
・ハジキが出てこないため、指を立てる必要に迫られず、指の腹で勘所を
押さえがちになる。
・左手の動きがぎこちないままなのにポジションの移動が意外と激しく、
どうにか弾きこなすまでに数ヶ月かかることもめずらしくない。そのため
左手の体制が整わないままに良くないフォームでの経験を積ませることに
なってしまう。
この後、次の曲として「松の緑」に取り組んだとき、初めてハジキの手が
出てくる。そこで改めて左手の体制を学び直さなくてはならないのである。
この「松の緑」も「明の鐘」の次の曲としてはステップが高いのでは
ないだろうか
このように見てくると一般のお稽古の場合にも、「明の鐘」以前に色々なテクニックの教程が必要なのではないかと考える。
全曲は取り組めなくても、例えば「勧進帳」の舞の合方などは弾いていて
楽しくなる上に、勘所も高い音で指を立てやすく、ポジション移動やハジキ・
スクイなどの要素を含んでおり初めて出会う長唄教材として、よりふさわしい
と思われる。
これまでに2.で述べた基礎基本の事柄を早い段階でしっかりと身につけさ
せてやれば、より良い音表現への意欲とより楽しい演奏活動と自己実現へと
誘ってやれるのではないかと思うのである。
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これらの考えを基に、90分×3〜4回程度のテキストと指導案をを作成した。
今後は、三味線のみならず、「長唄」の唄についても、受講者にとってステ
ップの高い部分をなるべく平坦にして、無理なく演奏技術の向上が図れるよ
うな指導法の研究、並びに教材の開発を進めていきたいと考えている。 |
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